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欧州のエネルギー自給を可能にする第3の選択肢 ~加速するエネルギー転換への流れ~

ウクライナでの紛争は、とりわけ欧州におけるエネルギー安全保障に大きな影響を与えています。石油・ガスの市場だけでなく、マクロ経済に様々な悪影響を及ぼします。特に、ウクライナでの紛争とそれに伴うロシアへの制裁は商品供給を混乱させ、パンデミックとその余波によって引き起こされた「コストプッシュ」インフレをさらに悪化させています。


一般的にインフレと戦うために使用される主要な政策ツールである金利の引き上げは、インフレの需要側に影響を与えるものであり、供給のボトルネックに対処することはほとんどないため、多くの国の金融政策当局者にとって、現在直面している課題への対応は次第に困難になっています。私たちの見解では、こうした状況によって、ヨーロッパや他の地域においてクリーンなエネルギー転換を加速する必要性はむしろ高まっています。


ソリューション: エネルギー転換の加速

さらに詳しく言うと、ロシアの石油・ガス供給がさらに途絶えた場合、特に欧州では短期的に困難な選択に直面します。供給ギャップを埋めるために、CO2排出量が大きいことで知られる石炭などのすぐに利用可能な技術に頼るか、あるいはエネルギー需要を減らすために厳格な措置を課すか、という選択です。

CO2排出量を高める選択肢は、多くの政府や企業による科学に基づく気候変動への取り組みを損なうリスクを伴います。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、この選択肢は悲惨な影響を与える可能性があると警告しています。代替案は、需要抑制に焦点を当てるものですが、こちらは賃金の引き下げや失業を通じて労働者に悪影響を及ぼし、不平等を拡大させ景気後退につながるリスクを伴います。そもそも、そのような選択は、政治的に実行不可能かもしれません。

環境への損害、あるいは社会的な損害のどちらを取るかという「ソフィーの選択」[1]を迫られるのであれば、 政策当局者にとっては「第3の選択肢」を検討することが有益かもしれません。それは、短期的に低炭素エネルギーへの多額の投資を促進することです。

再生可能エネルギーの(現地)生産を増やすには時間がかかりますが、通常はその生産施設を建設するための期間は、火力発電や原子力の生産施設よりもはるかに短く、依存関係も少なくなります。たとえば、パイプラインによって供給されるロシアの天然ガスに取って代わるには、欧州が域外からより多くの液化天然ガス(LNG)を輸入する必要があります。これは、欧州に新しく特別な輸入施設を建設することを意味し、おそらく、LNG輸出がすでにピークに達し、他の市場からも注目される米国やその他の国で新しい輸出施設を建設することも意味しています。

欧州のLNGをめぐる有力企業が集まったとしても、ロシアのガス供給の3分の1を置き換えるには、少なくとも2年、場合によってはそれ以上の時間がかかるでしょう。そうしている間に、再生可能エネルギーの容量が増加する一方、政府は住民に対して、より少ない電力消費と熱源を電化するためのインセンティブを進化させることが可能となります。欧州では天然ガス消費量の約半分は住宅での使用が占めているため、域内でのガス暖房への依存度を下げることは大きなインパクトとなり得ます。これは、たとえば熱移動のテクノロジーを活用するため省エネ効率が高いとされるヒートポンプに切り替えるためのインセンティブ(減税、クレジット、またはリベート)などを通じて実現することができるでしょう。 [2]

需要側を見ると、第二次世界大戦などの大きな紛争の初期段階と同様に、政府による意識向上キャンペーンが、たとえば省エネなどのサポートを構築するのに役立つことが証明されています。消費の抑制は国のエネルギー自給を強化することにつながるため、エネルギー供給の危機に直面している今、政府による同様のアプローチが正当化される可能性があると考えています。


リスクの管理

低炭素エネルギーへの転換を加速することは、海外から化石燃料を輸入する必要性を減らすことによって、特にヨーロッパでのエネルギー安全保障を改善するものと考えられます。また、化石燃料からの排出量を削減することにより、気候変動を緩和するのにも役立ちます。さらに3つ目の利点として、インフレリスクの管理にも役立つ可能性があります。

たしかに、ガス火力発電に取って代わり、住宅用暖房に電力を供給するために必要なクリーンエネルギー容量を構築するには、多額の支出が必要になります。この支出によって、とりわけ銅、コバルト、鉛などの商品市場に、より広範なインフレ効果をもたらす可能性もあります。

移行を加速させるためには、炭素税の引き上げも必要になりそうです。化石燃料を含まない合理的な代替品の入手可能性によって相殺できない場合は、化石燃料価格にさらに上昇圧力を引き起こす可能性もあるでしょう。

しかし、この「グリーンフレーション」は、石油やガスなど現在インフレを促進している種類の主要コモディティへの需要が減少することによって、大部分は埋め合わされる可能性があります。そして長期的には、再生可能エネルギーは燃料の投入コストが不要となるため、デフレにつながるものと思われます。

このような変化が起こるためには、欧州連合(EU)や欧州の各国政府は、再生可能な技術とインフラストラクチャーに多額の投資を行う必要があるのです。

公共資本だけでは十分ではありません。理想的には、低炭素投資のための減税やその他のインセンティブを与え、(たとえば、商業化されていない新しいテクノロジーに対してより多くの研究開発に資金提供を行うなど)プロジェクトのリスクを軽減することによって民間資本が集まることが期待されます。

さらに、市民や企業にもこのインフレとの戦いに取り組むよう促すべきです。ネットゼロの未来に向けて、人々の考えとインセンティブを調整するためには、現在のような良いタイミングはありません。


エネルギー転換の勝者

公平を期すために言えば、ネットゼロとエネルギー安全保障への道筋は明白なものではありません。壊滅的な気候変動を回避するため科学的に必要とされる脱炭素化の目標は、産業界にとって野心的なものです。しかし、エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)の調査が指摘しているように、エネルギー源のより根本的な多様化が必要です。ここでは再生可能エネルギーがカギとなるのです。

再生可能エネルギーのソリューションに関して、以下のようなセグメントで事業を展開している代表的な企業がメリットを享受できると考えています。

•          太陽光発電モジュールやモジュールコンポーネントなどのソーラーパネル部品

•        ビルにおける高効率の断熱材

•        電気ヒートポンプ

•        電解槽や燃料電池など、クリーンな発電燃料を製造・使用するための機器

•        変圧器などの重要な送電網インフラストラクチャー

こうした既存のテクノロジーを拡大することに加えて、低炭素化のための代替テクノロジーを提供する、あるいは消費の削減をサポートするような新しいテクノロジーを立ち上げるための取り組みを検討しなければならないと考えています。


ご参照

[1] 両方が望ましくない結果をもたらす選択肢から選ばなければならない状況(そして、選択しないとしても望ましくない結果が生じる可能性がある状況)。ウィリアム・スタイロンによる小説「ソフィーの選択」を参照。

[2] EUの多くの国はすでにそのようなインセンティブを提供していますが、まだ一貫したものではなく、必要な切り替えを促進するのに十分なレベルで行われていません。詳細は、 Analysis-of-Fossil-Fuel-Incentives-in-Europe_FINAL.pdf (coolproducts.eu) 。

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