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アースデイ:地球の重要性を考える契機として

「アースデイ2022[1]を契機に、BNPパリバ・アセットマネジメントのESGアナリスト(生物多様性担当)Robert-Alexandre Poujadeが機能的で健全な生態系の主軸の1つである「土壌」について掘り下げ、投資家が注目すべき理由について解説します。

「土壌」は、投資家が考慮すべき最も重要なテーマであると、即座には思えないかもしれません。しかし、世界中の土壌の健全を維持することは、いくつかの理由から極めて重要なことです。

・土壌は多くの生態系を支えており、能動的にきれいな水や空気を供給する要素である
・土壌は食料供給を保証する根幹的な役割を果たす
・土壌は自然と洪水を防ぐ障壁となる
・土壌は地域のコミュニティや生活を支えている

気候というレンズを通して見ると、土壌は気候変動緩和のカギを握っています。土壌は地球上最大のCO2吸収源なのです。

しかし、土壌の健全性や土地の生産性は、人間活動の増加や不適切な土地利用、集約的な農業慣行(単一栽培や集約畜産、過放牧)等によって、世界的に低下しています。


農薬の多用も伝統的農法によって成り立っている環境に有害な慣行であり、土壌の健全性を高める取り組みが必要と言えます。農薬は無脊椎動物や土壌微生物(菌類やバクテリアを含む)にダメージを与えます。このような生物は土壌中の炭素隔離を容易にし、植物が栄養分を吸収することをサポートします。ネオニコチノイド系殺虫剤は農業用に一般的に用いられており、鳥の個体数減少との関連性が強まっています。

その解決策は?

現在の農業システムが長期的に持続可能でないことは明らかです。より有害性が低い農業慣行に移行すれば、土壌の健全性や生物多様性の保全に役立ち、気候変動やその他の環境インパクトの軽減につながるでしょう。

こうしたアプローチの中には「カーボン・ファーミング」も含まれます。カーボン・ファーミングとは、農地の炭素隔離量を最適化しCO2排出を減らすとされる農業慣行や作付け手法を重視するというものです。

また、アグロ・エコロジー(農業生態学)と呼ばれる農法もあり、生態学的原則に従いつつ現地の知見を活かして作物を植え付ける持続可能な手法で、こちらも支持されている選択肢の一つです。

フランスのシンクタンク「持続可能開発・国際関係研究所(IDDRI)」の報告書によれば、欧州の農場がアグロ・エコロジーに配慮した農法を導入した場合でも、2050年までに5億3000万人に到達するとされる欧州の人口に必要な食糧を十分に生産することが可能としています。

アグロ・エコロジーに配慮した農業は集約性に乏しいため、当初は作物収穫量が減少すると見込まれます。しかし、穀物飼料で育てる肉牛を消費する食習慣を控え、牧草飼育牛や植物性タンパク質を採り入れる食習慣へ転換したりすることで、減少分を相殺することが可能です。

注意すべき点としては、有機農業を大規模に展開する場合、窒素が阻害要因となる恐れがあることです。窒素は植物の成長に欠かせない栄養分で、作物の収穫量を左右する可能性があります。伝統的な農業慣行において、窒素は合成的に供給されてきました。

ただし、科学雑誌Natureの最近のレポートは、こうした方策を通じて食料需給に対応した場合、有機農業は世界全体の農業のうち最大60%を占めることが可能としています。

投資家にとって土壌が重要な理由とは?

自然を保護する大規模な取り組みがなければ、健全な生態系がもたらす自然の恵み(生態系サービス)は減少し、2050年までに10兆米ドルのGDP喪失につながる恐れがあります。

土壌は陸域生態系の根幹ですが、これまで投資家は自然資産としての土壌の価値をほとんど見過ごしてきました。BNPパリバ・アセットマネジメントの投資先企業において、農産物から土地のフットプリントを計算すると、平均で純売上高100万ユーロ当たり約30ヘクタールを有すると推計されます。

私たちは、土壌の健全性や土壌の健康を保全するソリューションを支援するために投資や資金アロケーションの変更を行うことで、環境面、社会面、経済面に恩恵をもたらすと確信しています。

現在、カーボンクレジットや生態系サービスクレジットを推進する機運が官民双方で高まっています。例えば、英国政府は農業従事者の持続可能な土地管理を促進するため、土壌のカーボンクレジット認定基準の確立に取り組んでいます。

英国以外でも自主的なスキームの策定が増えています。その一例はベルギーで作物栽培学を手掛けるSoil Capital社[2]で、農場が収益性低下リスクを冒すことなく再生農業へ移行できるよう支援するカーボンプログラムを展開しています。

企業側の対応

土壌問題への取り組みに関心を持つ企業は、多くの場合、土壌の健全を維持するべく再生農業の実践に重点を置いています。

しかし、こうした試みは十分に野心的といえるでしょうか。国際的な環境学者ヨハン・ロックストローム教授は、私たちのインベストメント・シンポジウム・シリーズのプログラムの中で、現在の食糧生産の半分は人類が生存できる安全な活動領域とその限界点とされる「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」を越えるかどうかに左右されると繰り返し指摘していました。

食品企業の一部はバリューチェーン上での行動変化を期待した取り組みをスタートさせていますが、投資家側も移行に向けた結束をさらに強める必要があります。

また、食品企業は農地の大半で再生農業を実践し、土地のフットプリントに独自の目標、期限、プログラムを設定する必要があります。そして、規模が限定的な「プロジェクトウォッシング」、取り繕う状態から転換しなければなりません。

例えば、食品企業の米ゼネラル・ミルズ[2]は2030年までに100万エーカーの農地で再生農業を推進する目標を掲げています。再生農業の定義も定め、土地管理者となり、食料から環境・社会・経済的にポジティブな結果をもたらすよう、サプライヤーと連携しています。このアプローチは、自社の水利用・排出目標とも連動しており、耕地の減少、生物多様性の向上、土壌の保護維持、畜産の統合を通じて、土壌の健全性を改善することも含んでいます。

また、フランスに本社を置くダノン[2]は、自社のアプローチを昨年公表しています。その取り組みでは、農業従事者に働き掛け、陸生(および水生)生物多様性を保全し、動物福祉を配慮するためのスコアカードを提供し、これにより食品の質や環境の質が向上すると期待されています。また、これまでに15万ヘクタール(直接調達先の12%)を再生農業へ転換させたと開示されています。

そして、英ユニリーバ[2]も再生農業の指針を定めた文書を策定しています。同文書では、生きた根を常に地中に保つこと、土壌侵食を防止すること、輪作を行うこと等の指針が盛り込まれています。また、これにより農薬の必要性を低減させることも可能であるでしょう。

データの不足

生物多様性の重要指標をモニタリングすることは、投資家が生物多様性喪失を反転させるために必要な取り組みを理解する一助となりえます。

生物多様性には、容易に観察することが可能な側面もあります。モニタリング技術やデータセットは改善しているものの、総合的なデータは不足しており、とりわけ土壌の生物多様性においてその不足は顕著です。

微生物等の有機体の分類や分布に関するデータは大きく欠落しており、特に土壌の生物多様性が生態系の機能にどういった影響を及ぼしているかのデータは不足しています。そのため、「投資家フレンドリー」な入手しやすい生物多様性データから、土壌に関するデータが漏れてしまっているのが現状です。

今後、土壌の保護のため適切な措置を講じるのであれば、こうした課題に対処する必要があります。土壌の生物多様性や炭素隔離の改善に資金を配分することともに、投資家が解決を後押しできるところです。


ご参照
[1]アースデイ(4月22日)の詳細は公式ウェブサイトをご覧ください:https://www.earthday.org/earth-day-2022/
[2]企業名の提示は説明のみを目的としており、投資助言や推奨ではありません。BNPパリバ・アセットマネジメントはこれら企業の株式を保有している場合も保有していない場合もあります。

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